ホイットニーが語らなかった 1997年イタリア・カプリ島での事故

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「俺は決してホイットニーに手を挙げたことはない」2003年12月に起きた家庭内暴力事件を含め、ボビー・ブラウンはホイットニーに対する暴力を否定している。これまでもボビーの家庭内暴力説は数回浮上したことはあるが、その度にホイットニーが必死に否定するため、ファンは何を信じたらいいのかわからない状態だった。

ニュースサイトThe Independentは「ホイットニー・ヒューストンが負ったミステリアスな負傷」という記事を1997年7月に発表。この年ホイットニーとボビーは1997年7月、第二のハネムーンと称し、ホイットニーの兄のマイケル夫妻と4人で地中海をクルーズするバケーションに出かけた。その最中にホイットニーが「何かの事情により」頬に5センチにわたる深い傷を受ける事件が起きた。記事の内容は次のようなものだ。

「地中海のカプリ島沖をヨットでバケーション中、歌手のホイットニー・ヒューストンは片頬に5センチに渡る深い傷を追った。著名な専門家は『おそらく一生残る傷になるでしょう。跡も濃くはっきりと残ってしまう可能性があります。初めの処置が何より大切です』と注意を促している。」

病院に着いた時ホイットニーは泣いていたという。だが「一体何が起きたのか」に関してホイットニーが警察に話したことと、ヨットのスタッフが話したことには食い違いがあった。

ホイットニーは海で「泳いでいる際に岩場で怪我をした」と警察に事情を説明したが、ヨットのクルー達は事故はヨット上で起きたと断言。

矛盾する2つの報告を手にしたカプリの警察署はこう表明。私たちの手元には2つの異なったストーリーがあり、彼女の夫が過去に起こした暴力事件についても耳にしています。この二つを踏まえてこの事件を見直さなければなりません」

またプラネット・モデル・マネージメントのキース・フォスターは「大概の場合、スターが顔に傷を負ってそれがプラスとなることはありませんが、ホイットニーほど大スターになるとそれほど影響はないかもしれません。事件がどのように扱われるかは彼女の人気度によるのです。多くの人は同情に向かうでしょうから」


ホイットニーの母シシーもこの不快なニュースをもちろん耳にした。そしてこの事件について著書「Remembering Whitney 」の中でこう記述している。

ホイットニーが怪我をしたとたん途端、ヨットの上は一気にシリアスな雰囲気になったという。ドナはホイットニーの頬にタオルを押し当て、一行は近くの病院へ一刻も早くと急いだ。ボビーにとって幸いなことにホイットニーの兄マイケルは昼寝中だった。もし彼が起きていたらタダでは済まなかっただろう。ホイットニーはボビーにこう怒鳴ったという。『もしこれがママに知れたら、あんたは死んだも同然よ!』

この事件に関係する写真が数枚残っている。ホイットニーがタオルで頬を抑えながらヨットから下船する瞬間で(下の写真ではない)肝心のボビーはホイットニーに寄り添いもせず、取り巻き集団の最後に力なくついて歩いている。これが妻が岩場で顔に怪我をした際の反応だろうか?

「カプリの病院で2針縫った後、ホイットニーはマイアミに住む高名な美容外科医の元へ飛んだ。私も心配で押しつぶされそうになりながら急いでマイアミへ駆けつけた。病室に着いてホイットニーを見るとその頬に大きな絆創膏が貼られていた。私は突然獅子のように暴れ出したくなった。

「ホイットニーは『ママ、お願いだからボビーに何も言わないで!ただの事故だったの』と何度も繰り返す。私は床に座り込んでいるボビーに目を据えると言った。『一切口を開くんじゃないよ。お前のいうことなんか何も聞きたくないんだ』

「ホイットニーとボビーは必死になってただの事件だと言いくるめようとしていた。ホイットニーによれば二人が口論中に、ボビーが怒りで拳をテーブルに叩きつけた時に『テーブルの上の陶器が割れて飛び、ホイットニーの頬を傷つけた』というのだ。(あまりにバレバレな嘘)」警察には岩場で泳いで怪我をしたと話だったはずなのに、これまた大幅に飛躍である。

「ホイットニーに手を上げたり、顔を傷つけたのはボビーだと考える人もいるかもしれないがニッピー本人が事故だと言い張り、ドナも事故だという。私はその場にいなかったのだ。彼らの話を信じるほかないのだった」

もう長い間、ホイットニーは母親にボビーの話をしなくなっていた。シシーにボビーの文句を言ったことは一度も無い。シシーがボビーを気に入っていないことは明らかで、シシー本人も時々それを口にしたため、特に良い話題でもない限り、ボビーについて話さないことを選んだのだった。

「ドクターの傷の処理は素晴らしく周囲は安心したが、この事件の後、ホイットニーの中の何かが変わったようだった。以前よりもっと悲しげで、まるで彼女から何かが取り去られたようだった。外側からはわからなくても、内側はまた別な話なのだろう」

ホイットニーがロビンにした話はもっと凄い。「ボビーと大口論してたのよ。私がグラスを取って壁に投げつけたら、砕けたかけらが私の方に飛んで頬に傷がついたの」つまり事故からボビーを関係ないところへ切り離し、攻撃から完全に守っているのである。

何かが起きたのは間違いないが、詳細がいまだに不明のこの事件。これもまたホイットニー特有の「人を守る嘘」の一つだったのだろうか。ボビーはこの事件について口を割ったことはない。現在事件の真相を知るのはボビーとドナ・ヒューストンのみである。

またホイットニーは親友だったロビン・クロフォードにもう長いことボビーについての本音を打ち明けられなくなっていた。物事の白黒に明確で元々ボビーを嫌悪するロビンに相談すれば、ならなぜボビーと別れないのか、と真顔で問い正される。ロビンはホイットニーがなぜボビーのような男と時間を無駄にするのか理解できないのだった。

一方ホイットニーはまだ幼い娘のボビ・クリスのことを思わざるを得なかった。そしてこれが本当に幸せなのだろうか、と時々考えた。ドラッグの使用も背後で深刻化していた。ホイットニーは深く疲れていた。心の痛みを誰にも打ち明けられず、全てを自分の中に閉じ込めたまま明日へと自分を繋ぐのだった。

参考記事:

“Mysterious injury may leave Whitney Houston scarred” by Kim Sengupta,Alexandra Williams

https://www.independent.co.uk/news/mysterious-injury-may-leave-whitney-houston-scarred-1252050.html

”Remembering Whitney: My Story of Love, Loss, and the Night Music Stopped” by Cissy Houston”
”A Song For You: My Life with Whitney Houston” by Robyn Crawford

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