ホイットニー・ドラッグの使用を初めて告白。「プライムタイム」特別インタビュー日本語訳

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Primetime Interview Special Whitney Houston
Transcript translation: HRS Happyman
Source: ABC News Network

プライムタイム特別番組、ホイットニー・ヒューストン、
ついに語る。

2002年、Just Whitneyのリリースに際して放映されたこのインタビュー。ホイットニーはこのインタビューの中でドラッグの使用を認め、彼女の「クラック・イズ・ワック」の一言が話題になった。

ABCネットワークで記録的な視聴率を記録したこのインタビューだが、放映後ホイットニーに対する批判や揶揄は酷かった。多くの人々には授けられた才能をないがしろにしているホイットニーだけが見え、そしてその原因は全てドラッグにあると決めつけた。そしてホイットニーの言うことなすこと全てをジョークとして扱った。

今、振り返って彼女の言葉を拾うと、限られた言葉の中で、彼女がいかに正直に、誠実に答えていたかがわかる。この番組で彼女はファンに、自分が強くいられるように祈ってくれ、と懇願した。だが人々はホイットニーを笑った。

もし当時のメディアが、父親ジョンがホイットニーから巨額の金を盗み続けたために、ホイットニーにクビにされたことを知っていたら、彼女に対する態度は変わっただろう。だが、ホイットニーは家族の問題について最後まで一切、口を割らなかった。

「クラック・イズ・ワック」の一言が話題先行したインタビューだが、ハイライトはこのホイットニーの答えである。

Q: もし自分の中でドラッグの使用をそそのかす悪魔がいるとしたら、それは一体なんですか?
『それは私自身ね。全て自分が決めたことだから。私のハートがきめたもので、私が欲しかったもの。でももう欲しくはないものでもあるの。だから最大の悪魔と言えば私自身よね。自分自身がベストフレンドであり、また最悪の敵でもある。それが私のこの問題に対する根本的な考え方なの。』



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Diane Sawer(以下DS)こうして私たちが座って話をするのを、みんなが見てるわね。あなたの体がどんな具合か、見てるのよね。

WH:ええ。

DS:一体どれだけ骨が見えるんだろう?病気なんだろうか?どれだけ深刻なんだろうって..

WH:私は病気じゃないわ、ダイアン。私は病気じゃない。それをきちんと正しておきたい。私はずっと痩せっぽちで、私が太るってことはないのよ。それを言っておきたい。ホイットニーはこれからだって太るなんてことはない。いいかしら?

DS: マイケル・ジャクソン・トリビュートコンサートでのあなたは?ここに写真があるわ。

ー2001年9月、Michael Jackson Tribute でのWhitneyの写真が映る

WH:これは撮り方が良くないのよ。

DS:まあ、良くない撮り方だったにせよ.これは本当のことよね?あなたの体の骨が浮きでているじゃない。これは事実でしょう? 

WH:ええ、私の骨ねえ、そうねえ。私は5フィート7インチで痩せているわ。あなたの言う意味分かるわ。

DS:でもこれはただの痩せ方じゃないわよ。

WH:違うの?それじゃ何?ダイアン、言ってみてよ(かなり好戦的な態度)

DS:恐ろしいくらいの痩せ方だわ。

WH:あなたがそう言うのも分かるわ。ほんとに。でもあなたに本当のことが分かるの?

DS:分からないわよ、でもあなたには分かるでしょ。

WH:其の通り。私にしかわからないことよ。

DS:拒食症?

WH:とんでもない。

DS:そうメディアは書いているのよ。

WH:とんでもない。

DS:じゃあ病的な飢餓状態?

WH:とんでもないわよ。

DS:それともドラッグの乱用が理由かしら。

WH:いいえ。違うわ。確かに認めるわよ、私友達と(ドラッグを使った)馬鹿騒ぎをしたものだけど。

ストレスを経験して精神が疲れている時、食生活が乱れてしまうの。今までにそういったことが度々あった。神経を参らせるような日を過ごしたり、良くない事が起きると、私は食べる事が出来ないの。ストレスがある際に食べる人もいるけど、私は食べられないの。それが体型に出てしまうのよね。

DS: 今の体重を聞いてもいいかしら?

WH:もちろん。

DS:今どれくらい体重があるの?

WH:(からかうように)答えるつもりないわ。

DS:見事にやられたわ。パンチを食らったみたいな気分よ。(笑)体重を増やすために特に努力しているの?

WH:いいえ。

DS:そうね、でももし人々がまたじろじろ見たり、指差したりするのであれば...

WH:人はそれまでもそうだった。私がこの仕事を始めた瞬間から、ずっとそうよ。

DS:振り返ってみて、あなたが謝りたい事というのは無いのかしら?それとも、他の人たちに...

WH: そう、わたしが謝りたいこともある。例えばコンサートのキャンセルについてとか、そうしたこと。ファンの人々が私にはすごく大切なの。そこについてはもう本当に謝るしかないわ。何か埋め合わせを約束するわよ。

DS: この見出しは...“瀕死のホイットニー、クラック(コカイン系ドラッグ)中毒リハビリ失敗”

WH:(身を乗り出して)まず始めに言っておくわ。クラックはチープよ。クラックを吸うには私はお金を稼ぎ過ぎたわね。それをきちんと言っておくわ。いい?私たちはクラックなんてやらないわ。クラック・イズ・ワック(クラックはくだらない代物よ)。


ーーその発言は新しい質問を投げかけました。それでは一体 彼女は何のドラッグを使っていたのか?そしてそれらは彼女のことをどれだけ蝕んだのでしょうか?このインタビューの後半、私たちはドラッグについて長い会話を持ちました。

彼女はおおよそ40年前、ニュージャージーのニューアークのある音楽一家に生まれました。彼女の母親はゴスペルとブルースの大御所シシー・ヒューストン。シシーは当時New Hope Baptist Churchでクワイヤーの指導も務めており、そこの礼拝で人々はこの大きな才能に恵まれた少女の声を聞くことになったのでした。


DS:あなたが歌った時、人々の顔にどんな反応が見えた?

WH:その時のこと想像つくかしら、ダイアン。目を閉じてとにかく歌ったの。そして目を開けたら、あたりは神を讃える雰囲気に満ちて、人々は精霊にとり付かれたようになっていた。その時に神様が人々に伝えるべき何かをこの私にくれたんだ、って知ったのよ。

17歳になる頃にはホイットニーはスタジオでの仕事のオーディションを受けていました。アリスタ・レコードのトップ、クライブ・デイビスはナイトクラブでの彼女の歌に耳をとめ、また彼女の指導役を務め、音楽を選び、イメージを作り上げ、彼女をスターにするべく自信を与えたのでした。1983年のマーブ・グリフィン・ショウへの出演は彼女の人生を変えました。その時彼女はたった19歳でした。

WH:忘れられないわ。“ホーム”を歌ったのよ。あの歌をね...

ーーそして間もなく彼女は音楽史上最もレコードを売った女性新人歌手となったのです。21歳にして、彼女は初めてのグラミー賞を手にしました。彼女の母は微笑むなか、プレセンターは何を隠そう、彼女のいとこである有名なシンガー、ディオンヌ・ワーウィックが務めたのです。

<中略>

多くのミュージシャンがコンサートをキャンセルする事があるのにも関わらす、彼女の場合はいつもゴシップ紙の見出しを飾る事になりました。彼女は完璧な声を期待しているファンを失望させないため、キャンセルは避けられないこともある、と言います。例え人々が(コンサートの)キャンセルはドラッグのせいだ、と考えようと、時にそれはストレスのせいでもあるとも主張しています。

WH:違うわ。常にドラッグが原因だった訳じゃない。全て物事がきちんと進めるために、(声が完璧な状態に戻るまで)自分のするべきことが何か知るために、何日も自分の部屋に閉じこもることもあったわ。

DS: 90年代半ば、“年をとったって思うわ”って発言してますよね?

WH:そう、まるで世界中のあらゆることを、経験すべきことを全てやってしまった感じね。自分の仕事を楽しんではいるわ、歌を歌うのも大好きだし。でももう、楽しいと思えないこともあるの。

DS:それはなぜ?

WH:音楽業界の人間は物事を違った風に考えるの。すべてお金中心の世界で、どれだけそれを早く手に入れるか。それしか考えないの。

DS:この業界で生き抜いていけるだけ、あなたはタフなの?

WH:私はタフよ。

DS:ずいぶん早い回答ね。

WH:それはそうよ、私はこれだけ長くこの業界でやってきてるんだもの、タフでなきゃあね。

DS:次にあなたのキャンセル歴について聞きたいわ。

WH:私が一体どれだけキャンセルしたか、知っているのかしら?これまでに何回キャンセルしたかって? 私がこの17年間で一体どれだけの数のコンサートをこなしたが、その上でキャンセルした数を比べてみるべきよ。

DS:でもいろいろな記事を読んで、人の話を聞く限り、姿を現すか現さないか、あなたは全く予測不能な人のように聞こえるわ。

WH: 違う。違うわ。それはほんとのことじゃない。違うわ。

でもあなたが(予定されたイベント・コンサートなどに)現れないって言う定評があるのは確かでしょ。

WH:その通りね。

(例えば彼女の恩師であり,アリスタのCEOとしての立場を奪われてしまったClive Davisへのトリビュートコンサートにさえ、彼女は姿を現さなかった。)

WH:泣いたわ。ほんとに。ある日突然,皆が“彼はもうここにはいないよ”っていうの。彼は行ってしまった。深く傷付いたのよ。

DS:でもあなたはそのClive の為のトリビュートコンサートにだって現れなかったじゃないの。

WH:そう、でもそれは私と彼との間の話よ。それについてはお話しするつもりはないわ。

DS: それじゃあ、2000年のアカデミー賞はどうだったのかしら。

WH:それはね。ショウから閉め出されたのよ。(笑)クビになったのよね。気にしていないけど。いずれにしてもやりたくなかったし。もう終わった話よ。

DS:なぜクビになったのかしら?

WH:そのショウの全てを取り仕切ってる人間とうまく行かなかったの。私が子供の頃から知ってる人のこと(バート・バカラック)よ。

DS:喉頭炎を煩っていたのが原因だ、という説明だったわ。

WH:それは、それはね、喉頭炎ではあったのよ。私は彼にたった一日頂戴、ってお願いしたの。全てをうまく行かせるために。(聞き入れてもらえずに)それに関しては私、頭にもきたし、それなりの態度を取っていたの。そしてそうあって当然なはずよ。まあ私がショウに出るべきじゃないってことで、彼等は私をクビにしたの。それだけよ。家に帰ったわ。

DS:それだけ?

WH:私の覚えている限りね。

ーー1992年、映画“ボディーガード‘によって、ホイットニーは驚くべき開拓者にもなったのです。ケビン・コスナーは彼女を映画での相手役に選びました。この映画はなんと400億円を稼ぎ出し、見えない人種の壁を壊し、また他の黒人女優に映画界でのヒロイン役をもたらすきっかけになったと言われています。

DS:あなた、ボディガードの映画に出るのが、死ぬほど恐かったんですって?

WH:死ぬほど恐かったわよ。とんでもなくビビっていたわ。だって、ケビン・コスナーよ!だから聞いたの、なんでこの私なの?って。そしたら彼は、君が唯一本当に歌える人だからさ、って。(撮影中)朝起きると、私ったらこんな感じだったの、『できないわ。ボビー、私今日でやめるわ。ねえ、私もうやめる!』 ボビーは言ったわ、『とんでもないよ。今君がやめたら、君は僕が死ぬまで(引き止めなかったと言う理由で)僕の事を非難するだろうね。君はこの映画をうまくやり遂げる。今やめる事なんて出来ないさ。背を向ける事なんてしちゃダメだ。』

(ホイットニー、ボビーの結婚式のプライベートヴィデオが流れる)これは今まで公開された事の無い、彼等の結婚式の模様です。400万円ものウェディング・ドレス、800人の招待客、でもこの国のたくさんの人々が首をかしげていました。『一体なぜ、彼(ボビー・ブラウン)なんだ?』

WH:みんな、ボビー・ブラウンとホイットニー・ヒューストンが一緒に居るところを想像できなかったのよね。一体誰が想像できたかしら?私は彼の中に愛を見いだし、彼は私の中に同じものを見つけたのよ。

ーーボビー・ブラウンはボストンのスラム出身で、まずニュー・エディションの一員として、スターになりました。それから彼独特のダンスを生かし、ソロ・アーティストとして、5曲のナンバーワン・ヒットを獲得しました。二人はあるパーティーで出会ったのです。

WH:彼はセクシーで、スムースで、紳士だった。そしていい人だったのよ。大方の人の信じてることと違ってね。とってもいい人だった。私のことをまるでレディのように扱ってくれた。私たちいろんな面で反対だけど、似通った部分も沢山あるの。

DS:例えばどんな風に?

WH:彼は家族を大切にするタイプで、私も同じ。みんな私たちが半年ももつ訳ないって言ったわ。でも私たちもう10年も一緒に居るのよ。

DS:ここにくる途中で、飛行機の搭乗員が私に、“なぜ彼女はあの夫と一緒に居るんでしょう。なんで彼のもとから離れないのか、って聞きたいわ”って話し掛けててきたのよ。

WH:私はその添乗員に、なぜ恋人と一緒にいるのか、その理由を聞きたいわ。彼女の「理想郷」がどんなものなのか聞かせてもらうわ。会話はそれからよね。

DS:彼があなたのことを殴った、なんてことは?

WH:(即座に)ないわ。彼があたしを殴ったことはないわ。私は彼を殴ったことあるわ。怒った時にね。

ーー彼等は2回ほど別居をしましたが、いずれもお互いのもとへ戻っていきました。 ある人々は夫ボビーが彼女を実質コントロールしており、それはもともとホイットニーが批評家達に(音楽が)白人寄り過ぎる、と攻撃されていた頃に始まったのではないか、と心配しています。1989年のソウル・トレイン・アワードで、黒人のオーディエンスは彼女に短いながらブーイングを浴びせました。

DS: 一般の人々が持っている考えっていうのは、ボビーがあなたをコントロールしてて、あなたがそれからただ抜け出せないんじゃないか、っていうものなのよ。虐待された妻が虐待から抜けられないみたいにね。あなたには、それが見えていないってわけ。あなたを引き戻してしまう、磁石みたいなものがあって...

WH:あなたが言おうとしている二人の間の磁石みたいなものは、彼に対する私の愛であり、彼を守ろうとする気持ちじゃない?そりゃあ、いろいろもめたことがなかった、とは言えないわよ。確かにあったかもしれないわ。そういえば。私、(男女関係に)慣れていなかったし。

DS:いつ頃の話?

WH:そうね、4、5年前かしらね。その頃、私はいつもボビーのそばにいて、何も問題がないか、ほかの女性が周りにいないか、確かめたかったの。これが私にとって初めての愛だった、って言ったわよね。ボビーに対して抱いた感情ほど深い思いを持った恋愛経験なんて私にはなかった。だから、どんな女性だって恋をすると経験するような変化を私も経験した、それだけよ。

私は以前より、年を経て賢くなった。特に夫婦関係に関して。彼が離れたところにいても、私は大丈夫。私が他のところにいても彼は大丈夫。何も魔法みたいな秘密があるわけじゃないわ。

DS:誰だってそういった拘束を経験してしまうと手放すのが難しいものなのじゃないかしら。

WH:私は彼を手放したいなんて思ってないわよ。

DS:違うの、私が言いたいのは...

WH:彼だって私の事を手放したいとは思ってないわよ。

DS:私が言ってるのは、(ホイットニーとボビーのように)魔法みたいな間柄を一旦経験してしまったら、それを手放すのは難しいんじゃないか、って言ってるのよ。

WH:私、クライブ(デイビス)の時に(彼がアリスタを離れた時に)それは経験してるじゃない。

<中略/この部分はボビー・ブラウンが会話に加わり、彼のドラッグ歴や、ホイットニーに暴力を振るった経験はあるか、などの質問がなされているが、特に目新しい話題でもないので省略します。>

WH:ボビーからアーティストとして沢山のことを学んだわ。

DS:何を学んだのかしら?

WH:どうやって行動するべきか。より柔軟であるために、流れに逆らわないようにね。

DS:自由であるために。

WH:そう、自由であるために。窮屈に感じる必要なんてないってこと。完璧なものなんて無いのだからって。何も無いのだからってね。

DS:あなたたちの関係は永遠に続くのかしら?

WH:(結婚式で)そう私は誓ったわ。あなたもでしょ?(照れたように笑う)

ーーさて、次のトピックはドラッグの使用についてです。ドラッグ中毒、また中毒からの回復の具合、そして彼女が生と死の間の、一体どれだけ危険な状態にあったのかについて質問がなされました。彼女のもとにインタビューに赴いたとき、私たちの質問に彼女が一体どれだけ答えてくれるのか、私たちには見当も付きませんでした。この後すぐ、彼女は 彼女の言う“パーティー”とは一体どんなものだったか、ハッキリさせてくれてくれます。それは他の誰の事でもありません。彼女自身の探求であり、苦闘でもあったのです。

WH:私たちの仕事は、セックス、ドラッグ、ロックンロールそのものなの。私も周りも皆、それを楽しんだ時期もある。でも年を経るにつれ、人は賢くなっていくでしょ。子供の遊びから卒業していくのよ。私には成長するための時間が与えられなかった。友達と楽しむ時間もなかったの。20代を通して、男の人とデートすることさえできなかった。辛かったわ。ほんとに。私が思うに、歳をとるにつれて、逆に私は若い頃へ戻っていったんだと思うの。自分自身に宣言したの、これからは楽しんでやろうって。わかるかしら。一種の反抗みたいなものね。

DS:...どんなに危険か考えなかったの?

WH:ええ。でも、私達なにもヘロイン打ってた、って訳じゃないけれどね。

DS:この見出しは...“ホイットニーの薬物習慣 8,000万円”

WH:いやだ、8,000万円ですって??(ふざけて)本当だったらいいのに。とんでもないわ。そんな大金を持ち去って、あなたと分けられたらいいのにねえ。とんでもないわ。領収書を見せなさいよ。私が8,000万円ものドラッグをディーラーから買ったというならね(怒)

DS:アルコール?それともマリファナ?コカイン?あるいはピル?

WH:(少したじろいだ表情を浮かべるが、すぐにきっぱりとした口調で)その、どれもだわね。その時々によるけど。

DS:全部なの?

WH:(うなづきながら)その時々によるけどね。

DS:もし....(ドラッグをあなたにそそのかす)最大の悪魔がいるとしたら、それはいったい何なのかしら?

WH:それは...私自身でしょうね。(クローズ・アップ、ホイットニー、凄まじい微笑みを浮かべる)それは全て、私が決めたことなのよ。私のハートがきめたもので、私が欲しかったもの。でも同時にもう欲しくはないものなの。だから最大の悪魔と言えば私自身よね。自分自身がベストフレンドであり、また最悪の敵でもある。それが私のこの問題に対する根本的な考え方なの。

DS: 自分のことを中毒だって思う?

WH:私はいくつかのことにはハマっているわよ。(笑)

DS:たとえば?

WH:メイク・ラブよ。(笑)私は自分のことを中毒者とはかんがえたくない。打ち破ることが可能な、悪い習慣を持った、という風に考えたいわ。

ーーでもそれは難しい事です。1999年、ホイットニーと夫のボビー・ブラウンがホテルの部屋で大喧嘩をした、と報告を受けた後、彼女の母シシー・ヒューストンはホイットニーの生活に干渉を試みました。

WH:ママが私の家に来て、言うのよ『ここにお前に会ってもらいたい人達を連れてきたよ』って。だから言ったの、『ママ。あなたは私を愛情を持って、神様と一緒に育ててくれた。私がママや神様の愛を持ってもうまくいかないことに、自分の人生を他人に委ねる気なんか、さらさらないわって。カウンセリング・サービスだろうがなんだろうが、誰が来ても私は気にしない。ママがこんな事を私にするのであれば、アメリカを出る。クリッシー(ボビ・クリス)を連れて出ていくわよ、って。私は本気だった。ママは言ったの、『どうか皆さん帰って下さい、娘は本気なんです。』って。

ーー話を2001年9月、マイケル・ジャクソン・トリビュートコンサートに戻すと、彼女はその当時、飛行機事故によるシンガー、アリーヤの死に気持ちが乱されていたのだと言います。そして、絶え間なく襲ってくる自身のキャリアへのプレッシャーもあったのだと。

DS:でも、あの夜のこと(マイケル・ジャクソン・トリビュートコンサート)について話して欲しいわ。まず、あなたあの時(ドラッグを用いた)パーティーの最中だったのかしら? それもその理由の一つなの?

WH:(考えて)んー、ダイアン、まるで私そんなこと毎日してるみたいには言えないけど、そうね、あの頃はそういうこともあったわ。

DS:(ドラッグが)あらゆるプレッシャーを消してくれるように思えたのかしら? 頭の中の不安の声を鎮めてくれたのかしら?

WH:そう思えたのよ。

DS:そう思えた?

WH:そう思ったのよ、そう。(ちょっとふてくされた表情で)

DS:コンサートが放映された時、あなたの体には画像処理が加えられていたの、見たかしら?

WH:彼等は私だけじゃなくて、そして他の人にも同じことをしたわ。

DS:え、他の人のためにも?他の人って???

(ホイットニー、なかばあきれた顔でダイアンを見つめ、それからカメラに向かって、不思議な笑みを見せる。だが何も言わない。おそらくマイケルのことだ)

DS:だってこれをきっかけに一連の騒動が持ち上がったのよ、(ゴシップ紙の)見出しは“死にゆくホイットニー”と..

WH:違うわ。“ホイットニーは死んだ”って書かれたのよ。

ーーそして彼女によれば、こうした見出しの何かが彼女にターニング・ポイントをもたらした、との事です。彼女の事を見つめている人々が彼女に自分自身を見つめ直さざるを得なくさせたのでした。

DS:どれ位恐くなったのかしら?

WH:恐くなったとしか言えないわ。人々が私のことを死んだ、って言った時に、私は考えを変えたの。そうするしかないじゃない。(笑)だって、私は他の連中(一緒にパーティーをしていた連中か?)みたいに見られたくないわ。彼等みたいになりたくもなかったし。(毅然と)それが私を震え上がらせたのよ。そう。わたしは、まるで型の中に埋め込まれてみたいに、抜け出せなくなってしまうようなところに、自分をおきたく無いの。絶対にイヤ。その時に何かが終わったのね。私の中でそれは終わってしまったの。

DS:取り返しのつかない状態に、あなたは近いところまで来ていたの?

WH:(肩をすくめて)他の誰もが経験することよ。近付いてたんじゃないかしら。それよりもっとシリアスな状況に近付いた人達のことも知ってるわ。でもそれが、私が行ってみたい境地でもある。それに近付きうるだけ近くね。

DS:(ちょっと飲まれた調子)そうした苦闘が終わった、っていうのはあなたにとって、どれくらい確かな事なのかしら?

WH:今私は正しい道を歩いているんだ、って感じてるわ。だって、私、自分自身が始まったところにかえってきたのよ。自分自身の心の中にね。(指で、胸を指差す)。 全てがパーフェクトに片付くとは言えないけど、ダイアン。でも..

DS:ええ、もちろんみんな、(ドラッグからの回復は)一日一歩しかすすめないものだって...

WH:その通り、その通りなのよ

DS:でも今、あなたはドラッグの使用は完全にやめた、って言おうとしてるのか、それとも..

WH:(複雑な表情、少し悲しげにさえ見える)そこについては(そんなにはっきりと)答えられないわ。私が言えるのは(ため息)私は自己破壊的な人間ではないと言うこと。私は死にたいと思っているわけじゃない。私には自分の人生があり、それに沿って生きていきたいと思ってるわ。その気持ちは決して変わらない。そこに関して私が間違いを犯すってことはないと思うわ。

DS:今あなたはそれを成し遂げるだけ強いのね?

WH:そう思うわ。

DS: 負けてしまうようなこともない?

WH: そうね。大丈夫。

DS:だって多くの人々が...

WH:(遮って)私、毎日神様にお祈りしてるの、ダイアン。(懇願するように)私は自分がいつもこの世で一番強い人間というわけじゃないけど、一番弱い訳でもない。そして私は負けないわ。絶対。(決然と)

DS:今日はあなたにとっていい日かしら?

WH:素晴らしいわ。神が祝福してくれた日よ。

DS: 何の誘惑もない?

WH:あー、そうね、いくつかあるけど、ドラッグに関してじゃないわ。あるヤツにむかついてけっとばしてやりたい誘惑にかられてはいるけれども。

DS:もしかして私??

WH:違うわよ!あなたは神様からの祝福よ。

ーーでも彼女にとって、ライフスタイルをかえるとはどんなに大変な事なのか考えずにはいられません。夫ボビー・ブラウンだけでなく彼女の二人の兄もコカインとマリファナの所持で逮捕されています。そして今年の5月、彼女のいとこであるディオンヌ・ワーウィックも空港でマリファナ所持により逮捕されたのです。

DS: あなたのいとこまでが...

WH:ジーザス...

DS:あなたのいとこまで...

WH:(しばらく黙っているが)全く別の出来事よ。これとそれとは全く関連性がないわ。

ーーたとえ今彼女はいわゆるリハビリセンターに入っていなくても、彼女はこのアトランタで、力強い何かに囲まれているのだ、といっています。たとえば彼女がsister Perryと呼んでいる、祈りのパートナー、Perry Nixonなどです。 

WH:(ドラッグ中毒治療の)リハビリを経験した人たちに聞いてみたのよ。ドラッグを乗りこえられた人たちは、多くの場合は神様と一緒だからこそ乗り越える事ができたのよね。みんなが言うの、リハビリ患者の90パーセントはまたリハビリに戻るんだって。そんなのちっともナイスじゃないわよ。だから、私がしたのは、まず一体何が私の魂に欠けているのか見定めるってことだったの。

DS:それじゃ、あなたを助けたい、あなたとドラッグの間にバリアーをはり巡らしてあげたい、と願っている人々に、あなたは一体、何をお祈りしてもらいたいのかしら?

WH:ドラッグに関して祈ってほしいんじゃないの。ドラッグの問題は(お祈りから)切り離して考えて欲しいのよ。

DS:何故?それは何故かしら?

WH:私という人間のために、祈って欲しいの。一人の人間として、私がもっと強くいられるように。それに私、他の人が私についてどう言おうと、気にしないから。私は神様の子供だって、神様が私を愛して下さるって知っているから。そう、神様は私の事愛してくれてる。ちゃんと知ってるの。Jesus loves me, this I knowよ。

(Jesus loves me が流れる)

ーーこの二年の間に、ホイットニーは強力な助言者であったクライブ・デイビスを失っただけでなく、一番古い友達、そして父親とも疎遠になってしまいました。新しいアルバムは、彼女を育て上げたクライブ・デイビスではなく、新しいアリスタ・レコードのトップ、LAリードが指揮をとって製作されたのです。インタビューをした日、彼女は喉頭炎を患っていたのですが、新しいアルバムでの彼女の声は、19年間ものスターダムと、百年分も賢くなった一人の女性を描写したものなのだといいます。しかし、彼女の母親シシーがかつて彼女に語った通り、歌を歌うという事と、ビジネスとは別物でした。時として、それは人間関係をも損ないうるのです。

古くからの友達、そして雇用者でもあったロビン・クロフォードもその一人でした。ホイットニーは二人はレズビアンである、という噂を何度も否定しなければなりませんでした。彼女は未だその噂を否定し、クロフォードは誰がホイットニーに助言すべきかについて、 ボビーと口論し、その結果、2年ほど前に彼女のもとを去ったのだといいます。

WH:競争なんかじゃないわ。二人の間に競争なんか無いわよ。ボビーは私の夫。もしあなたが私の友達でいたいのなら、友達のままでいましょうよ、でもそれも出来ないのなら、“ごめんなさいね”ってかんじよ。

(ロビンに対するホイットニーからのメッセージ)

WH:愛してるよ!(極めて投げやり)

ーーそして世間を一番驚かせたのが、この9月、彼女の財政面をマネージメントしている彼女の父親ジョン・ヒューストンがそのビジネス・パートナーとともに起こした120億円を求めての裁判劇でした。彼等によれば二人は彼女を(マリファナ絡みの)裁判トラブルから救い出し、アリスタと巨額の契約を結ぶ手助けをした、というのです。

DS: お父さんがあなたに対して裁判を起こしているのね。

WH:アハハハ。(極めて不愉快そうな笑い)

DS:120億円を支払うように求めているわね。あなた、裏切られたように感じてるかしら?

WH:傷付くわ。彼等が私たちから120億円を手に入れるなんて事はあり得ないわ。それは分かっているのよ。

DS:でも彼等は支払われるべきお金を払っていないお金をあなたが払っていない、と主張しているわ。

WH:彼等は(それらの仕事のために)決して雇われてはいないのよ。でもそれについてはこれ以上お話するの、控えておくわ。

DS:お父さんにお話出来ないの? 彼はあなたに一体何を言ったのかしら?

WH:私の父親は81で..今具合が良くないの。健康状態は悪くなっていっているし。父の周りに居る誰かが、彼の心に恐れを植え付けたのよ。まるで彼はもう私の父親では無く、私は彼の娘ではない、というような恐れをね。

DS:お父様の事、まだ愛してる?

WH:(きっぱりと)当たり前よ。彼は私に生命を与えてくれたのよ。これが起こる前のことを私に忘れる事なんてできないわ。一番最悪なのはこれが全てお金目当てだってこと。そしてそれが、本当に私を不快に、悲しくさせるのよ。何よりも私の心を苦しめる。

DS:とりわけそれが、あなたに服を着せて、一緒にバージンロードを歩いてくれたお父様なのだとしたら....

WH:ええ。

DS:今何を考えているの?

WH:(急いで涙を拭う)そういった瞬間のことよ。(つぶやくように)

(カメラに向かって)ちょっと止めてもらえるかしら?

DS:もちろんよ。

WH:ありがとう。すぐに戻ります。(席を立つ)

ーーみなさんは過去に、ホイットニー・ヒューストンの妊娠について、また流産についての報道を目にした事があるかもしれません。今から10年ほど前、彼女は小さな女の子を出産しました。ホイットニーもボビーもこのボビ・クリスティーナこそが彼等にとって何にも勝る喜びなのだ、といっています。

WH:朝早くにね、誰も周りにいない時に私たち一緒に時間を過ごすのよ。あの子の部屋にこっそり入っていって、あの子のベットの中にもぐっていって、“ほら、もう起きなきゃ駄目よ!”って言ってね。あの子のおなかをこすってあげてーあの子のおなかも、背中も、気持ちもみんな起こしてあげてーそれで体自体が目覚めてーそれで二人でおはなしするの。

Bobbi Kristina(以下 BK)一番素敵なのは、日曜日だとかそんな日に、こうして座って一緒にテレビを見たりとか、ゴスペルを聞いたりとか、朝ご飯を一緒に食べたりする事なの。

DS:ママの声のどんなとこがすき?

BK:ママの声はとってもすてきで、私の事を眠らせてくれるの。

DS:ママは子守唄を歌ってくれるのかしら?

WH:(ボビに向かって)いくわよ、ア~イ、ラ~ブ、ユ~..タタ、タタ

ア~イ、ラ~ブ、ユ~

BK:ノウ!!

(ホイットニー笑いながら、ボビ・クリスを抱きしめる)

DS:今から十年後、ホイットニー・ヒューストンにとって完璧な生活ってどんなものなのかしら?

WH:隠居生活かしら。(笑)自分は何もしないで、自分の娘が素晴らしい、祝福された女性になるのを見守るわ。後は孫とか。でもまだこれは私自身の瞬間なのよ。そうね、私のこと愛してくれるか、さもなければ放っといて欲しいわ。

(急いでカメラに向かって)でも私の事愛して。私もみんなのこと、愛しているから。(笑)

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