「When You Believe」ホイットニー、マライアとの世紀の共演について語る
1998年11月2日、ホイットニー・ヒューストンとマライア・キャリーによる『世紀のデュエット』、「ホエン・ユー・ビリーブ(When You Believe)」がリリースされる。
ドリームワークス製作「プリンス・オブ・エジプト」のサントラ盤用に書かれた、スティーヴン・シュワルツによるこの曲のオリジナルに、ベイビーフェイス(Babyface)が追加の歌詞と音楽を加え、ゴスペル・クワイアを配した壮大なバラードである。
ノルウェイ(2位)やハンガリー(1位)、ヨーロッパ HOT チャートでも最高2位とヨーロッパでは大ヒットを記録したが、アメリカのビルボード誌 HOT100では最高15位という、彼女達の人気のスケールを考えるとやや期待外れの結果であった。アメリカでは50万枚(2010年時点)のセールスを記録している。
スティーヴィー・ワンダーや母親シシーとの共演など、これまでの数々のスリリングなデュエットと比べると音楽的にはパッとした印象がないこの曲だが、1999年71回アカデミー賞では最優秀オリジナル・ソング賞を獲得している。
「プリンス・オブ・エジプト」サントラ盤に加え、ホイットニーの4枚目のスタジオ・アルバム「マイ・ラブ・イズ・ユア・ラブ」、そしてマライアの「#1’s」
というコンピレーション・アルバムにも収録。
二人のディーバのライバル関係はあくまでメディアが作り上げたものと聞いていたが、ホイットニーの親しい友人のゴスペルシンガー、Bebe Winansの本「The Whitney I Know」によると、
ホイットニーは91年のグラミー賞式会場の
バックステージ廊下で、
向こうから取り巻き達と
一緒に歩いてきたマライアに、
手を出し祝辞を言おうとしたら、
マライアは聞こえないフリをして
そっぽを向いて出て行ったのだそう。
(マライア本人覚えなしらしい 気づかなかっただけ 爆)
Bebeの車に乗り込んだホイットニーは超不機嫌で、叩きつけるように車のドアを閉め、Bebeに向かって「もう二度とあなたのアドバイスは聞かないわ!」
なぜなら自分からマライアに祝辞を言うように勧めたのは、Bebeだったから 爆
その後、1992年のRolling Stone誌のインタビューでホイットニーは、「私をマライア・キャリーのようだ、とは誰も言わないわ。誰もが彼女が私のようだ、って表現するじゃない?」とホイットニーらしい表現でマライアについて発言している。
一方マライアはホイットニーについて、「この私達以降の世代に最も影響を与えたシンガーを選ぶとすれば、それは間違いなくホイットニー・ヒューストンだわね」と様々なインタビューでコメントしている。
ちなみにマライアの好きなホイットニーの歌は「You Give Good Love」 だそう。
この曲への参加がきっかけでホイットニーとマライアは友達になったそうだ。
98年の黒人向けの雑誌「エボニー」のインタビユーで、ホイットニーはマライアについて、こう語っている。
「彼女との仕事はすごく楽しかったわ。マライアと私はとても仲良くなった。
これまで話したこともなかったし、一緒に歌ったこともなかったのよ。
一緒にレコーディングの様子を録画する機会があったのだけど、その合間には笑ったり、いろいろ話したり、歌ったりしていたわ。二人の「レディオブソウル」が友達になれるなんて素敵じゃない。
将来何か一緒に又プロジェクトができたらいいわよね、なんて話してたのよ。
彼女は本当に、良い、鮮やかなマインドの持ち主だからね。何にも問題なかったわ。彼女はとてもスマートなレディよ。
私は本当に彼女のことが好き。」
元夫のニック・キャノンによれば、
マライアはホイットニーの訃報を聞かされた時、
暫くの間口もきけないくらい、落ち込んだと言われる。
前置きが長くなったが、デュエット・ビデオ撮影の後行われた
MTVによるこのインタビューの日本語訳。
MTV News Online “Divas” : Interview by John Morris
Translation by HRS Happyman
Q: (JOHN NORRIS )ファンの誰もがマライアとの「When You Believe」の
ビデオ撮影はどんな具合だったか知りたがっていると思うんですが。
A: (ホイットニー)あら、すごく良かったわよ。本当に。
不平なんて何も言えないわね。
私たち二人とも死ぬほど疲れたけど、全てはうまく行ったわ。
彼女と私の間にはいいバイブレーションがあるのよ。
この曲はとてもパワフルなものだし、彼女と一緒に歌うのはとても楽しいわ。
Q: いったいどんな風にこの曲は出来たんですか?
このプロジェクトに最初に参加の意思表示をしたのはどちらだったんですか?
A:あのねえ。実は私にも分からないのよ!
とにかく私とマライアがデュエットする事になったんだ、って事しかね。
おそらくドリーム・ワークスのJeffrey Katzenburg がマライアには
『ホイットニーはこのプロジェクトに乗り気なんだが』って言って、
私には『マライアはこのデュエットをやりたがっているんだ』
て言ったんだと思う。だから、私達二人ともそれならやるわ、
ってことになったのよ。
Q: この曲については?
A:この曲の背景はバイブルの中の一節に基づいているの。
イスラエルの子供たちが砂漠を横断して約束の地に辿り着いた、
それって人生の中で人が誰しも経験する、
障害や問題を乗り越えていく過程に似ているでしょ。
だからこの歌の意味合いって、とても大きいのよ。
Q: 人々は、あなたとマライアを一つの部屋に入れたら、
一体どんな事になるかって..
A:地獄のようだとでもいうつもり?
Q: まるで中東交渉みたいなものを想像するんでしょうね。
でもあなた達二人はうまくいったんでしょう?
A:みんな、想像力をフルに使って、
勝手に話を作り上げたりするのが好きなんでしょ。
でも私達の場合はうまくいって、しかも仲良くなったわよ。
Q: 以前あなたは二人の声の中にはそれぞれ違いがあり、
その違いが分かるとおっしゃってましたが、二人の声が似ている、
と感じる人もいるでしょうね。でも違いはあるんでしょう?
A:そう信じているけどね。それがマライアがマライアたる理由であり、
私が私である理由だからね!大きな違いなんだけど。
つまり、私の声のトーンと彼女の声のトーンが重なった時に、
美しいハーモニーを作る、その為にこうして歌っている訳じゃない。
それが全てよ。
Q: ところでマライアの曲で何か好きなものはありますか?
A:「Make It Happen」ね。
Q: 初めて彼女の曲を聴いたときの事、
彼女がシーンに登場したときの事を覚えていますか?
A: (歌いながら): ‘I had a Vision of Love~’覚えているわよ、勿論ね。
Q: どう思いました?
A: そうねえ、私と似たトーンの音楽だな、でも私とはやっぱり違うみたい…
彼女はだあれ?って感じかな。
もちろんマライアって言う歌手がデビューするんだ、とは事前に聞いていたのよ。シンガーってのはいきなりシーンに出てきて人々を熱狂させるってことは無いのよ。(深い発言)